2002/02/11登録
アメリカ・マジソン在住のぴろ中村さんから、炸醤麺の新報告が届きました。
こんな小さい街にももう一軒、炸醤面を出すレストランがありました。今回はレス トランの写真も撮ってきました。これまで美国にいるなどということの、確たる証拠 を残しているわけではなかったので、美国から情報を発信しているというのは、皆様 の信用の元から成り立っていたわけです(苦笑)。しかし、この日本ではとうていあ り得ないようなこのレストランの雰囲気、これで一応、信用していただけたでしょう か。
さて、このレストランは比較的町の中心部の小さいモールの一角にあります。名前 は「Beijing Restaurant」、中国名は「獨一處」とあります。美国の中華レストラン の命名の仕方には、1)中国名にピンインを振る、2)中国名に相当する英名をつけ る、3)それぞれまったく意味をなさない名前にする、とだいたいこんな感じになり まして、ここは3)に相当するわけです。ちなみに3)は少数派といえます。 以前から、日本人の間では「おいしい店だ」と評判ではあったのですが、機会を逸 していました。アメリカに来るような日本人はほとんど炸醤面など知りませんが、や はり「舌」に関しては信用できます。少なくとも、美国人の「おいしい」よりは・・・ 。
ところで、最近、私のアパートにこんな、チラシが放り込まれていました。
これを開くとメニューが記されており(字が小さいので、割愛させていただきます) 、中に「炸醤面」とあったのです。おかげで、俄然行く気になりました。だいたいこ の手のチラシというのは、最終的には捨てることになってしまって、紙のムダだから 送らないでくれ〜、と思うことが多いのですが、今回ばかりはそうとも言えませんで した。話を元に戻します。
で、レストランに行きまして、席に通されて、笑顔で点菜をとった小姐は厨房に入 るなり、「老板・・・(以下不明)」とケンカ口調(というか中国語では普通の話し 方)で話しています。これでつかみはOKです。少なくとも移民の一世がやっている店 だということが分かります。
出てきたのは、こんなものでした(写真に影ができてしまって、申し訳ありません) 。ちなみに、下に敷いてある紙には干支の動物がすべて書いてありまして、美国の中 華料理店にはよくあるスタイルです。
醤は少な目、汁っぽくて、とろみがほとんどありません。従って、醤はほとんど、 皿の底に沈んでいます。面は当然白いものなのですが、以前報告した店と同様、他の 面料理(Lo mein という炒面)にも使用しているのと同じ面を使用していると思われ ます。従って、手打ちのものや日本のうどんなどに比べるとコシはありません。具は 炒めた豚肉沙(挽肉)に、野菜は黄瓜(キュウリ)、茹でた豆芽(モヤシ)にネギで す。
かき混ぜた後の面の拡大図です。面の太さがすべて同じなのが、いかにも機械で作っ たという感じだと思います。
醤の色が面にほとんど付きません。汁っぽい醤だけど、まっ茶色の韓国風というわ けでもなく、どういったカテゴリーに入れたらいいのかわかりません。まあ、美国で はまだ2軒しか見つけていないわけで、カテゴライズできるわけもありません。とり あえず、醤を炸して料理している面なので、炸醤面であることには間違いありません。 だからといって、この「炸醤面」がおいしくないということではありません。私には おいしく、すべてを平らげました。しっかり、亜州人の味覚を満足させるだけの味に なっていると思います。
この店を含め、だいたいどこの店もいわゆる普通の一品料理がメインです。自分で 面を打てる厨師がいたとしても、他の料理がメインですからそんな時間はないと思い ます。また美国では亜州的な面料理がそんなにメジャーでないですから、製麺所など もそこら辺にあるわけではありません。だから自分の要求に合うような面をそういっ たところに頼むこともできません。それなりの面が手に入らない限り、現状で最大限 においしい味の炸醤面を作るとすれば、結果的にはこのような炸醤になってしまうの だと思います。
日本では面料理というものがメジャーであって、店側がそれなりの努力を払えばそ れなりの面を手に入れられます(自分で作るという選択肢を含め)。従って、どんな 炸醤面が出てくるかは老板や厨師の出身地などに依存しているのかもしれません。し かし上記の状況をふまえ、少なくとも美国では出身地云々よりも、手に入る面の質に 依存して醤の味を決めているのではないかと考えています。ただ、この点については 今後も考察が必要だと思っています。
追記としまして、私の街の多くの中華料理店は面料理といえば、先述のLo meinく らいしか置いていません。そんな中で、この「獨一處」はその他、雲呑面、叉焼面、 牛肉面、涼面、その他、数種の面を用意しています。さらに、それぞれトッピングの 異なったいくつかがあります。これだけの種類の面のある、いわゆる普通の中華料理 店は私の街では希有です。美国人が基本的にそういった面料理をあまり食さないこと を考えると、このレストラン、亜州人のために多くの面のメニューを用意し、亜州人 に相当愛されているのだと思います。別の面も食べに行ってみたいと思っています。