渋谷「胡同」
2002/04/07更新
炸醤麺の本場は北京。
本やインターネットで現在の北京の炸醤麺を見ると、キュウリだけでなく
豆類や数種類の野菜を載せるものを良く目にする。早く現地で
確認しなければと思ってはいるが、いつになることやら・・・。
都内の中華料理店を精力的に調査されている翁さんから、
「渋谷に野菜たっぷりの本格派を食べられる店を発見した」
という報告が届いた。嬉しいことに、白い麺も作ってもらえるとのこと。

場所は渋谷。渋谷は道が直交していないせいか、目印になる高い建物が
無いためなのか、私はいつも迷子になる。
4月5日、道を良く知る会社の仲間2人の勧誘に成功、翁さんのアドバイスに従い
2時ごろ電話で白い麺3人前を予約する。夜8時到着の予定だったが、
迷うこともなく目的の店「北の食房 胡同 中国北東部地方家常菜」には、かなり
早めの到着となった。
炸醤麺は最後のお楽しみにとっておき、生ビール、女児酒を飲む。
つまみはキュウリの生姜漬けなど(メモしてくれば良かった・・・)と水餃子。
スプーンが添えられているが、これは麺湯(茹で汁)を飲むためのものである。
私には、昔から家で食べていたものが水餃子の理想形になってしまっている。
家のより少しでも大きければ大きすぎだと感じるし、家で使っていなかった香辛料が
入っていれば余計な味がすると感じる。皮も製麺屋さんのものに馴染んでいるので、
大抵の店の手打ちは厚すぎると感じていた。この水餃子は私との相性が
ぴったりである。
老酒も2本目が空きそうになってきたので、いよいよお楽しみの炸醤麺を
注文する。
まず炸醤と具が登場した。
右端の黒い液体は黒醋。
好みでかけるそうだが、「私はかけません」と小姐。
私も左上のセロリは入れないでおこう。
麺が登場した。真っ白な切麺である。暖かい。
いままで方々の店で食べてきた味を、全て覚えているわけではないのだが、
この炸醤が我が家の味に一番近いような気がする。しかも麺は、家で使っていた製麺屋さん
のものより旨い。
一緒に行った仙台出身の男が、「日本風の味噌だね。まるで仙台味噌みたい」と言うと、
小姐は、「いいえ、味噌は中国の物です。でもここでは砂糖を入れてあります。本当はもっとからいんですよ。これでも日本人にはからいですから、少しずつ混ぜてください」とのこと。
ところでこの「からい」という言葉は要注意。
日本では、中国の鹹、酸、甘、苦、辛のうち、鹹と辛の二つをからいと言っている。
また区別する言い方には、「鹹=しょっぱい、辛=からい」と、関西料理人が好んで使う
「鹹=からい、辛=ぴりから」の2系統あり混乱している。
今回の「からい」は「しょっぱい」のほう。
麺湯である。これは白い麺の炸醤麺を注文した者のみが味わえるのだ。
日本のラーメン店ではこれを茹で汁と呼び、ゆでるという役割を終えた後は、
完全に湯切りされ捨て去られる運命の液体である。
調味料等で味付けはしないそうであるが、湯桶の底にたまった蕎麦湯(そういえばここでも「湯」と言う字を使う)のような濃厚な味であった。
炸醤麺は北京ダックと共に北京を代表する料理だ。
後者に比べれば炸醤麺は庶民的な料理であるが、それは餃子だって同じこと。
東京や横浜には北京料理を標榜する店がまだまだ沢山ある。今後はメニューに無いからといって
諦めず、積極的に「白い麺の炸醤麺を出してくれ」とお願いしていきたいと思う。
住所
東京都渋谷区宇田川町33-12 J+Rビル サイドR B1F
※残念ながら閉店しました。
geminizz@hamakko.or.jp
荒川文治(あらかわ ふみはる)
神奈川県横浜市
炸醤麺と水餃子情報のトップページへ